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大型のトレーラーやトラッククレーンなど一目で特殊車両と分かるものはよいのですが、実は普通に走っているトラックでも特殊車両に該当するものがあります。
それが「新規格車」とよばれる車両です。
今回の記事では、このちょっと変わった「新規格車」について詳しく解説していきます。
出典:国土交通省関東地方整備局
新規格車とは高速自動車道路および重さ指定道路を自由に通行できる車両で、その他の道路を走る場合は特殊な車両として扱われますので特殊車両通行許可が必要となります。
ぱっと見ただけでは普通のトラックとの違いは分かりにくいのですが、新規格車の前面には上の図のような20t超と書かれたワッペンが貼ってあります。ここが一番分かりやすい目印となります。
そして総重量以外の制限値(幅・長さ・高さ)などは一般的制限値と同じになりますので、新規格車が特殊車両としてみなされるのは積載重量が主な理由となり、多くの新規格車が最大積載量を積むと21トンや24,9トンなどとなります。
ここであれ??と少し疑問に思った方がいるのではないでしょうか。
「積載重量が主な理由なら、往復経路で積み荷を卸した帰り道なんかは20トンを下回るので許可は必要なのかな?」
実は新規格車において積み荷を卸した状態で総重量が20トンを下回る場合、特殊車両に該当しませんので許可は必要ありません。つまり片道の経路申請のみで大丈夫ということです。
帰り道も荷を積む可能性があれば往復で経路申請するのもいいのですが、片道申請だけで良いのに無駄に往復経路をとる必要はありません。許可取得の際に支払う手数料も余分にかかってしまうので、ここはしっかりと押さえておきたいポイントとなります。
そして新規格車はサイズによって積載重量の上限が変わり、単車(トラック)なのか連結車(トレーラー)なのかによっても違いがあります。
下の表をご覧ください。
長さ | 最遠軸距 | 総重量 | |
---|---|---|---|
単車(トラックなど) | 9m以上12m以下 | 5,5m以上7m未満 | 22トン |
11m以上12m以下 | 7m以上 | 25トン | |
連結車(トレーラーなど) | 12m以下 | 8m以上9m未満 | 24~25トン |
12m以下 | 9m以上10m未満 | 25,5~26トン |
この表を見ていただくと、一般的制限値では20トンとされている総重量が単車では25トンまで。連結車では26トンまで増えいてることが分かります。
新規格車が増トン車などと呼ばれる理由はここにあります。
一般的制限値についてよく分からない、もっと詳しく知りたいという方は
・特殊車両の一般的制限値を知ろう!の記事を読んで頂けるとより理解が深まると思います。
ちなみに上の表にある単車とは、連結されておらずに単体で走行できる車両を言い、トレーラーでないトラックを単車と呼びます。
・単車に分類されるトラックの例→アルミバン・アルミウイング・タンクローリーなど
連結車とは牽引車であるトラクターヘッドの連結部分に被牽引車であるトレーラーを連結して走行する車両をいいます。
・連結車に分類されるトラックの例→セミトレーラー・フルトレーラー・ポールトレーラーなど
このような違いがあるのですが実務上、申請する多くの新規格車は単車となります。
ここで単車と連結車の違い、豆知識として知っておいて頂きたいのは、単車は連結車に比べ運転がしやすかったり、高速料金が安かったりと優遇されている点があります。
一方、連結車は単車に比べ運転が難しかったりするのですが回転半径が大きかったり、一度に大量の荷を運ぶことができるなどメリットもあります。
「新規格車は許可がいらないって聞いたんだけど、ホントはどうなの?」
こんな問い合わせを受けることが多くあります。
新規格車は重さ指定道路や高速道路を許可なく走ることができることから、特殊車両通行許可が無くても大丈夫だというイメージがついているのかもしれません。
確かに出発地から目的地までのルートが重さ指定道路と高速道路のみで完結していれば許可は必要ありません。ですが多くのルートにおいて市道、県道などを通行することがほとんどで、重さ指定道路や高速道路のみで完結する経路を取ることは稀なのです。
特に出発地や目的地付近は未収録道路になっているケースも多く、結果的に新規格車であっても通行許可を取らなければならないパターンが多くなります。
新規格車は総重量の点で優遇されており、重さ指定道路・高速道路を自由に通行することができるなど良いことばかりだと感じられるのですが、実はデメリットも存在します。
近年の特殊車両通行許可申請は多くの場合、オンライン申請で行うのですが新規格車ではそれが難しいのです。
オンライン申請は窓口申請に比べ、いつでもどこでも申請することが可能です。差し戻しや経路の修正などがあっても手早く行えますし、わざわざ役所の窓口に行く必要もありませんから交通費や時間の削減になります。
また役所の担当者の方も、窓口で細かく説明したり不備があった書類やデータを再度、窓口に来てもらって一から確認するなど多くの時間がかかってしまう手間を省くことができるのです。
オンライン申請は非常に合理的なシステムなのですが、新規格車の申請に関しては今だ利用しにくいといった問題点があげられます。
いかがだったでしょうか。
このページではちょっと分かりにくかった新規格車(増トン車)についてまとめていきました。
新規格車は「荷物を積んだ状態で、特殊車両通行許可のキモである一般的制限値を超えているのかどうか?」がポイントです。
もちろん、総重量が25トンまで許されている車両であっても、帰り道など荷を減らした状態で20トンを超えていなければ特殊車両には該当しませんので許可は必要ありませんし、例えそれが重さ指定道路・高速道路を走る場合であっても同じです。
そして押さえておきたいメリット・デメリットとして
【メリット】
・一般的制限値は他の車両と同じだが、総重量が優遇されている
・重さ指定道路・高速道路を許可なく自由に走行することができる
【デメリット】
・重さ指定道路・高速道路以外のルートが必要な場合は許可が必要となる
・オンライン申請できるケースが稀で、通常の申請よりも手間がかかる
といった点があげられます。