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特種車両通行許可の制度では、道路の構造を守り事故や交通の危険から皆さんの生活を守るため道路を通行する車両の大きさや長さ、重さなどの基準を設けています。
これを一般的制限値と言いました。
一般的制限値について、まだ知識があまり無い。もしくはもっと詳しく知りたい。という方は以下の記事を読んでからこのページに戻って読み進めて頂けると分かりやすいかと思います。
一般的制限値の数値を一つでも超えた場合、原則として特車の許可が必要となってくるのですが、例え許可が出されたからといってどこでも走れるという訳ではありません。
特種車両通行許可を取得した道路でも、通行に必要な厳しい条件をクリアしなければならないのです。
ではその条件とは一体、どのようなものなのでしょうか。
通行条件についてまずは下の表を見てみましょう。
重量についての条件 | 寸法についての条件 | ||
---|---|---|---|
A条件 | ・条件なし | ・条件なし | |
B条件 | ・徐行すること ・連行の禁止 | ・徐行すること | |
C条件 | ・徐行すること ・連行の禁止 ・誘導車の配置 | ・徐行すること ・誘導車の配置 | |
D条件 | ・徐行すること ・連行の禁止 ・誘導車の配置 ・2車線内に他車 を通行させない |
重量についての条件と寸法についての条件に分かれており、一番上のA条件~D条件まで見ていくと、徐々に条件が厳しくなっていくのが分かります。
A条件は「条件なし」となっていますので問題ありませんが、B・C・D条件を見てみると、「徐行」「連行禁止」「誘導車の配置」など様々な条件が付されていますのでそれぞれ解説していきます。
「徐行」とは走行している車がすぐに停止できるスピードで走ることです。時速10kmくらいを目安とされていますが、道路状況などによって変わってくることもありますので、具体的な速度は明確にされていません。
重量についてはB条件以上に「連行の禁止」が付されています。連行の禁止とは2台以上の特殊車両が縦列をなして同時に橋、高架の道路等の同一径間を走行して渡ることを禁止していることを指しています。
一般的な車両に比べ、重量の重い特殊車両が連なって走行すると橋にかかってくる負担は相当なものとなり倒壊や事故を招いてしまう恐れがありますので、橋梁へのダメージなどを考慮するといった点からこのような条件が付されています。
普段、道路を走っていると大型のトレーラーや道路作業などを行っている車両の前後などに誘導する車が走行しているのを見たことはありませんか?
「誘導車」はカーブや曲がりにくい交差点、トンネルなどを走行する際に他の車の安全を守るための誘導を行ったり、橋の構造を保全するために配置する車両です。
役割として特殊車両が安全に通行するのを補助するため、対向車など特殊車両の周辺を走行している車の通行状況や道路の形状であったり、駐車している車両が無いか?工事などを行っていないか?といった情報を特殊車両の運転手に対して連絡、助言します。
また特殊車両の近くを走行している一般車両に対して注意喚起なども行います。
そしてこの誘導車は上の表で確認したC条件・D条件について「誘導車の配置」の条件が付されることとなります。
誘導車に使用されている車は一般的には普通乗用車が多く、他の車から見て特殊車両を誘導していることがキチンと分かるように「特殊車両誘導中」などといった掲示板のようなものが表示がされています。
これまでC条件やD条件が付された場合、走行する特殊車両の前後に誘導車を配置しなければなりませんでしたが、法改正によって令和3年3月29日より誘導車の配置が原則として前方または後方どちらか1台の設置となりました。
(誘導車を運転するには国土交通省の定める補習を受講する必要があります)
・D条件となる車両
・車両幅が3mを超え寸法の条件がC条件に該当する車両
このような場合ですと、夜間通行(21:00~6:00)の条件が付されます。
要するに昼間は走れないってことです。
これはかなり制約が厳しくなるので、申請を行う際はなるべくD条件が出ないように経路作成することが多くなります。
今回の記事では特車申請における通行条件について詳しく解説していきました。
「せっかく苦労して特殊車両の許可を取得したんだから、通行条件なんて細かいことを言わずに走らせてよ」
そんな風に思われるかもしれませんが、通行条件は大型のトラックなどが道路や橋を安全に走行するために付された決まりで交差点や橋梁、トンネルなど誘導車が無ければ大きな事故を誘発して周りの一般車両を巻き込んでしまう可能性もあるのです。
誘導車の配置に関する通行条件などは、実態と乖離しているような状況が長く続いているのはご存じの方も多いでしょう。
制度と実態のバランスが取れておらず、必ずしも事業者だけに落ち度があるとは考えにくいのも事実ですから、今回の法改正でこのような状況が改善されることを期待しています。
そして実務上、お客様からの声で多いのは
「A・B条件までは大丈夫だけど、C・D条件が付いたらできる限り迂回して経路を作成して欲しい」
「特にD条件は付かないようにして」といったご要望を多く頂きます。
たしかに深夜しか走行できないとなると仕事の幅は大きく限られてしまいますので、このようなお声を頂くのは納得です。