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特殊車両通行制度は、ここ数年で大きく改正されました。2025年版の「特殊車両通行ハンドブック」にも、最新の制度内容が反映されています。
本記事では、トレーラー運転手・運送会社が必ず押さえるべき2025年時点の改正ポイント を、行政書士の視点から分かりやすくまとめます。
特殊車両通行制度の改正点
2020年代の改正で最も大きいのが、特殊車両通行確認制度(即時回答方式) の導入です。
従来の特殊車両通行許可制度では、申請→審査→許可まで数週間かかりましたが、確認制度では、
車両諸元を事前登録
発着地を入力
システムが即時に通行可能経路を回答
回答書を携行して通行可能
という大きな効率化が実現しています。
2025年の制度改正により運用が拡大した特殊車両通行確認制度とは、従来の特殊車両通行許可制度のように道路管理者が個別に審査を行う方式ではなく、国が整備した道路データベースを基準として通行の可否を即時判断する仕組みです。利用者はまず特殊車両の車両諸元(長さ・幅・高さ・軸重・最小回転半径など)を事前登録し、発着地を入力するだけで、システムが適合する通行可能経路を数秒で提示します。結果として発行される「回答書」を携行すれば、示された経路に限り合法に走行できます。従来の許可制度のように数週間の審査を待つ必要がなく、急ぎの輸送案件にも対応しやすくなった点が、制度改正による大きなメリットです。ただし、ETC2.0による重量記録の保存義務があり、特例寸法や11.5t軸重など制度基準を超える場合は確認制度を利用できず、その際は従来の通行許可制度との併用が必要となります。
確認制度を利用する車両は、ETC2.0を用いた重量記録の保存義務 が求められます。従来の許可制度にはなかった要件であり、「重量超過の履歴管理」が企業責任として重要になっています。
2025年の制度改正によって運用が明確化された特殊車両通行確認制度では、通行時に「重量記録を1年間保存する義務」が新たに設けられています。これは、従来の特殊車両通行許可制度には存在しなかった重要な管理項目であり、確認制度を利用する事業者に求められる必須の遵守事項です。重量記録は書面または電子データのいずれであっても保存可能で、国から提出を求められた場合には速やかに提出しなければなりません(道路法47条の12)。保存すべき資料としては、①乗務記録、②送り状、③これらに準ずる記録(積載貨物重量・積卸日時・場所が必須)、④積卸時の重量測定結果(総重量・測定日時)などが挙げられます。これにより事業者は、特殊車両の実際の積載重量を正確に管理し、重量超過や虚偽申告を防止する体制づくりが求められます。確認制度は即時に通行経路が利用できる利便性がある一方で、制度改正により「重量管理の厳格化」がより強く求められる制度へと変化しています。
確認制度では、新たに 「回答書」 という文書が発行されます。
許可証とは別物
即時に発行
通行可能経路が地図で明記
携行義務あり
回答書は、許可証と混同しやすいため注意が必要です。
2025年の制度改正によって運用が注目されている特殊車両通行確認制度で交付される「回答書」は、通行可能経路の確認結果として発行される公式な文書で、1回の経路確認ごとに作成されます。回答書には、システムが判定した主経路・代替経路・渡り線などが地図形式で表示され、示された範囲内のみ通行が認められます。回答書の有効期間は1年間とされており、期限切れ前に再度確認し新しい回答書を取得する必要があります。また、経路確認の結果「通行不能」と判断された場合、そのルートでの走行は許可されません。回答書は従来の通行許可証とは異なり、審査を経ずに即時発行される点が大きな特徴です。通行時には道路法に基づき携行義務があり、運送会社は回答書を確実に車両に備え付け、指定された経路から逸脱しないよう厳格な運行管理を行うことが求められます。制度改正後は回答書の重要性が増しており、特殊車両を扱う事業者にとって欠かせない運用ポイントとなっています。
優良事業者に対する「特車ゴールド制度」にも変更があります。
特車ゴールドの主な条件:
ETC2.0搭載車である
過去2年間に“重量超過違反”がない
事業所がGマーク認定
特車ゴールドになると、後述のとおり 許可期間が最大4年 となり、事務負担が大幅に軽減されます。
2025年の制度改正でも重要な位置づけとなっている特殊車両の「特車ゴールド制度」は、特殊車両通行許可制度において、一定の基準を満たした優良事業者に対し許可期間を大幅に延長する仕組みです。ハンドブック2025によれば、通常の許可期間は2年以内(または1年以内)ですが、優良事業者に該当する場合は 最大4年間(超重量・超寸法の特殊車両は2年間) の許可が付与されると明記されています。優良事業者として認められる条件は、①ETC2.0車載器を搭載した登録車両であること、②過去2年以内に重量超過などの違反歴がないこと、③Gマーク認定事業所に所属していること、という3点で、すべてを満たす必要があります。Gマークは「安全性優良事業所」を示す評価で、運行管理体制が整っている事業者に与えられるものです。特車ゴールドを取得すると、許可更新の手間が減り、事務負担が大幅に軽減されるため、運送会社にとって非常に価値の高い制度となっています。
改正により、許可期間は以下のとおり拡大されています。
| 車両区分 | 優良事業者 | その他 |
|---|---|---|
| 超寸法・超重量車両 | 2年以内 | 1年以内 |
| 上記以外の特殊車両 | 4年以内 | 2年以内 |
優良事業者(特車ゴールド)のメリットが大きくなったため、
今後は「優良事業者化」が重要な経営戦略の一つになります。
2025年の制度改正により見直しが進んでいる特殊車両通行許可制度では、車両の諸元や事業者の属性に応じて、許可の有効期間が区分されています。ハンドブック2025では「通行許可期間」について明確な基準が示されており、まず寸法または重量が一般的制限値を超える“超寸法・超重量車両”の場合、優良事業者は2年以内、その他の事業者は1年以内とされています。一方、上記以外の特殊車両、すなわち一般的制限値を超える部分が限定的な車両については、優良事業者は4年以内、その他は2年以内の許可期間が認められています。
さらに、一定の条件を満たす優良事業者の車両については、許可の有効期間が 最大4年間(超寸法・超重量車両は最大2年間) と明記されており、許可更新の事務負担を大幅に軽減できる制度として重要視されています。優良事業者認定には、ETC2.0搭載車両であること、過去2年以内の違反歴がないこと、Gマーク認定事業所に所属していることなど、厳格な基準をすべて満たす必要があります。これらの要件は交通安全と適正運行を評価するもので、制度改正後の運行管理において、運送事業者が戦略的に活用すべきポイントとなります。
これまでの「特例5車種」に加えて、
あおり型セミトレーラ
スタンション型セミトレーラ
船底型セミトレーラ(タイプⅠ・Ⅱ)
が追加され、特例8車種 に拡大されました。
特例8車種は、道路法の一般的制限値を超えやすいため、
特殊車両通行許可・確認制度の対象になりやすい車両です。
2025年の制度改正で重要度が高まった特殊車両の「特例8車種」とは、従来の「特例5車種」に新たな3車種が加わって構成される特例区分で、特殊用途のセミトレーラを対象とした制度です。ハンドブック2025では、“追加3車種” として、①あおり型セミトレーラ、②スタンション型セミトレーラ、③船底型セミトレーラ(タイプⅠ・Ⅱ)が明記されています。これらは貨物の落下防止のため高い強度のあおりや固縛装置を備える必要があり、構造上、一般的制限値を超えやすいため、特殊車両通行許可または確認制度での経路判定が必須となる車両です。
さらに特例8車種には、通行可能経路の確認または通行許可における寸法・重量の限度値が詳細に定められています。セミトレーラの長さは17.0m〜18.0m、条件により21.0mまで認められる場合があり、総重量は44.0t、軸重は10t(ただしバン型等セミトレーラを認証2軸トラクタでけん引する場合は11.5t)と規定されています。これらの整理により、特殊用途トレーラの輸送基準が制度上明確化され、許可の判断基準が統一された点が、2025年版の大きな特徴となっています。
バン型セミトレーラやコンテナ用セミトレーラでは、
認証2軸トラクタを使用した場合、
駆動軸の軸重が 10t → 11.5t に緩和
されています。
これにより、輸送効率が向上し、
重量物を扱う運送会社にとってメリットが大きい改正です。
2025年の制度改正により見直しが進む特殊車両の取扱いの中でも、バン型等セミトレーラに関する「11.5t軸重緩和」は重要なポイントです。バン型等セミトレーラでは、けん引するトラクタが2軸の認証トラクタである場合に限り、駆動軸の軸重が通常の10tから 11.5tまで緩和 されます。この仕組みは国際海上コンテナ車両と同様の扱いで、物流効率の向上を目的として導入された制度です。対象車両はエアサスペンションなど、道路運送車両法の保安基準に適合する装置を備えていることが条件とされ、緩和が適用されるのは「駆動軸のみ」で、その他の軸は従来どおり10t以下が上限となります。
この 11.5t軸重緩和 により、積載量の調整幅が広がり、特に重量物を扱う運送会社にとって輸送効率が向上するメリットがあります。一方で、認証トラクタ以外を使用していたり、保安基準に適合しないサスペンションを装備している車両は適用対象外となるため、車両仕様の確認が不可欠です。また、軸重超過は重大な違反となるため、制度改正の趣旨を理解し、特殊車両としての適正な諸元管理が求められます。
オンライン申請が原則になりつつありますが、オフライン申請(郵送)についても最新の料金や手順が反映されています。
2025年の制度改正後も、特殊車両通行許可制度ではオンライン申請が推奨されていますが、引き続き オフライン申請(窓口提出・郵送) を利用することも可能です。ハンドブック2025では、オフライン申請は専用の「オフライン用プログラム」を使用して申請書を作成し、電子媒体(CD-R・DVD-R等)とともに窓口へ提出する方式であると説明されています。このプログラムは、①申請窓口で直接受け取る、②指定ウェブサイトからダウンロードする、③郵送で取り寄せる、という3つの方法で入手できます。
郵送で取り寄せる場合は、様式をダウンロードして必要事項を記入し、返送先を明記したうえで 270円分の切手を貼った返送用封筒 を同封し、特車センターへ送付する必要があります。作成した申請書は紙の申請書類と電子媒体を揃えて申請窓口へ提出し、許可証の交付も窓口で行われ、電子媒体とセットで返却される流れとなっています。
オンライン申請に比べ手続きはやや煩雑ですが、ネット環境が整っていない事業者や、社内規定によりオンライン利用が難しい企業にとって、制度改正後も依然として重要な申請手段であり、特殊車両の許可取得における選択肢として活用されています。
2025年の特殊車両制度を一言でまとめると、
という 3つの方向にシフト しています。
制度は便利になりましたが、
企業側の管理責任は増しており、
「知らずに違反」になりやすい面もあります。
経路検索が通らない
許可制度と確認制度のどちらを使えばいい?
特例8車種の判断が難しい
回答書と許可証の違いがわからない
特車ゴールドの取得を目指したい
こういったお悩みは、専門行政書士にご相談ください。
当事務所では、
2025年制度に完全対応した特殊車両通行手続き
をサポートしています。
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