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特車許可があっても産業廃棄物収集運搬業許可が必要になるケースを詳しく解説

建設業者や運送業者の方の中には、「特殊車両通行許可(いわゆる特車許可)」を取得していれば、運搬業務については、ひととおり問題ないと考えている方も少なくないと思います。

 

しかし実際には、この認識が思わぬリスクになることがあります。というのも、特車許可はあくまで「車両」に関する許可であって、「何を運ぶか」という点については別の規制があるからです。

 

とりわけ建設現場に関係する運搬では、気づかないうちに産業廃棄物収集運搬業の無許可営業に該当してしまうケースが多く見られます。

 

特車許可と産廃許可の違いを踏まえつつ、どのような場合に産廃許可が必要になるのかを、詳しく解説します。

 

特車許可と産廃許可は「まったく別の規制」

まず、押さえておきたいのは、特車許可と産廃許可は似ているようで、根本的に役割が異なるという点です。

 

特車許可は道路法に基づくもので、一定の大きさや重量を超える車両が道路を通行する場合に必要となります。

 

つまり、道路の保全や交通の安全を確保するための制度であり、「その車両が通ってよいかどうか」を判断している許認可です。

 

一方で、産業廃棄物収集運搬業許可は廃棄物処理法に基づいて、事業活動に伴って発生した廃棄物を運ぶ場合に必要となります。こちらは環境保全や不法投棄の防止を目的としてますので、「何を運ぶのか」「誰のものを運ぶのか」が問題になります。

 

このように、特車許可は車両の問題、産廃許可は運搬物の問題と考えると理解しやすいです。両者は代替関係にはなく、必要に応じてそれぞれ取得しなければならない許認可です。

 

廃棄物処理法からの引用です。

 

 

(産業廃棄物処理業)

 

(目的)

第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。

 

第十四条 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第十四条の三の三まで、第十五条の四の二、第十五条の四の三第三項及び第十五条の四の四第三項において同じ。)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

 

産廃許可が必要になるかは「運ぶ中身」

判断を誤りやすいのは、「とりあえず運搬だから特車許可で足りるだろう」と考えてしまうことです。運搬するものが産業廃棄物に該当するかどうかが重要になります。

 

さらに、その廃棄物が自社のものなのか、それとも他社のものなのかという点です。自社の事業活動で発生した廃棄物を自社で運ぶ、いわゆる自己運搬であれば許可は不要とされていますが、他社の廃棄物を運ぶ場合には原則として産廃許可が必要になります。

 

ここで見落とされがちなのが、「ついでに運ぶ」「サービスで運ぶ」といったケースです。報酬の有無にかかわらず、事業として評価される可能性があるため、安易な判断は危険です。

 

特車許可だけでは違法になる典型的なケース

実際の現場では、意図せず違法状態に陥ってしまうパターンがいくつかあります。

 

たとえば建設現場から出るコンクリートガラやアスファルト殻、建設汚泥などは典型的な産業廃棄物です。これらを元請や他社の現場から運搬する場合、特車許可を持っていたとしても、それだけでは足りず、産廃許可が必要になります。

 

また、重機を運ぶ際に、現場に残っている廃材を一緒に積み込んでしまうケースもよく見られます。重機の運搬自体は問題ありませんが、廃材が混ざることで一転して産業廃棄物の運搬と評価される可能性があります。

 

運送業者の場合も同様で、「単なる配送」という認識で産廃を運んでしまうと無許可営業に該当します。一般貨物自動車運送事業の許可があっても、それとは別に産廃許可が必要になる点には注意が必要です。

 

さらに、元請が下請に対して「ついでに処分場まで運んでほしい」と依頼するケースも少なくありません。この場合、運搬を行った下請だけでなく、依頼した元請側も委託基準違反として責任を問われる可能性があります。

 

もう一つ実務上トラブルになりやすいのが、スクラップや金属くずなどの扱いです。一見すると売却できる有価物のように思えても、実際には処分が必要なものが混ざっていると産業廃棄物として扱われることがあります。こうした判断は形式的に行われることも多く、現場感覚とズレが生じやすい部分です。

 

無許可運搬は軽い違反ではありません

産業廃棄物の無許可運搬は、単なる手続きミスでは済まされない重大な違反です。法律上は厳しい罰則が定められており、法人の場合には高額な罰金が科される可能性もあります。

 

それだけでなく、建設業許可への影響や、取引先からの信用低下といった二次的なリスクも無視できません。実務では「知らなかった」では済まされないケースがほとんどであり、事前の確認が極めて重要になります。

 

許可取得と実務対応のポイント

産廃収集運搬業の許可を取得するには、人的要件や財務状況、車両の整備状況など、一定の基準を満たす必要がありますし、許可を取得した後も、契約書の整備やマニフェストの運用など、適切な管理体制が求められます。

 

産業廃棄物マニフェスト(産業廃棄物管理票)とは、排出事業者が産業廃棄物の処理を外部委託する際に交付する伝票で、廃棄物が最終処分まで適正に処理されたか確認するための書類です。

 

特に見落とされやすいのは、契約関係の整備です。運搬の委託契約が適切に結ばれていない場合、元請側にも責任が及ぶ可能性があります。単に許可を持っているかどうかだけでなく、運用面まで含めて整備しておくことが重要です。

 

「車両の許可」と「運搬物の許可」は別物

特車許可があれば大型車両での運搬は可能になりますが、それだけで産業廃棄物を運べるわけではありません。運搬するものが産業廃棄物に該当する場合には、別途産廃許可が必要になります。

 

建設業や運送業の現場では、この点を正しく理解していないことによるリスクが非常に多く見られます。気づかないうちに違法状態になってしまう前に、自社の業務内容を一度整理してみることをおすすめします。

 

判断に迷った場合は専門家へ

産業廃棄物に該当するかどうかの判断は、物の性質だけでなく、取引の形態や地域の運用によっても変わることがあります。現場の感覚だけで判断するのは難しいケースも多いため、少しでも不安がある場合は事前に専門家へ相談するのが安全です。

 

 

 

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